2025年7月12日土曜日

「日韓中の共通食マナー」の成立ーー- 食器を手に持たず、台の上に置いたまま箸や匙で食べるの

 

小田裕樹「 古代日韓における有蓋台付椀の製作と展開 ー百済洒批期の資料を中心に一 」『古代日韓における有蓋台付椀の製作と展開』145頁BA86039590_3_145_168.pdf

には、次のようにある。

「7世紀代の日本・百済・新羅の土器をみると、いずれも有驀台付椀を主体とする食器構成へ転換する。 中国に由来する饗宴・儀式の場での食事に関わる共通の礼法を各国が受容したことと関連して、台付 食器を台の上に置き、箸.匙を使用して食べる共通の食事作法が各国に伝わり、受容されていたこと を示す可能性が高いと考えた。」

この文に興味を惹かれるのは、「日韓中の共通食マナー」の成立にある。つまり「台付 食器を台の上に置き、箸.匙を使用して食べる共通の食事作法」であるが、小田氏は自明の如しとする

食器を手に持たず、台の上に置いたまま箸や匙で食べるのマナー


である。


ちなみに現代日本の食事マナーでは、基本的に

  • ご飯茶碗や汁椀は手に持つ

とされる。このマナーの教えは明治後期の修身教科書に見られる。その背景には、食卓文化の変化があり、箱膳・銘々膳からちゃぶ台へ移行したことによる。


「『出雲国風土記』にみえる阿志毘縁道」

 今津勝紀「『出雲国風土記』にみえる阿志毘縁道をめぐって」

を偶然に目にした。

以下はそれに触発されたメモである。

************


鳥取県に日南町がある。

その位置は、町のHPによると、

中国山地のほぼ中央に位置し、西は島根、南は岡山、南西部は広島と3県に接し、山陰・山陽を結ぶJR伯備線の要路となっています。道路距離では米子まで37.5km、鳥取市まで128.0km、岡山まで110.0km、広島市まで148.5kmとなっています」

とある。

 出雲国風土記に、

通道。


通飯石郡堺漆仁川邊廿八里。即川邊有薬湯。一浴、則身體穆平。再浴、則萬病消除。男女老少、昼夜不息、駱驛往来、无不得験。故俗人號云、薬湯也。〔即有正倉。〕

通大原郡堺辛谷村一十六里二百卅六歩。

通伯耆國日野郡堺阿志毘縁山卅五里一百五十歩。〔常有剗。〕

通備後國恵宗郡堺遊託山卅七里。〔常有剗。〕

通同恵宗郡堺比市山五十三里。〔常无剗。但當、有政時権置耳。〕

とあり、 仁多郡の郡家・亀嵩を出た東南道は、比田 または竹崎を 経て、御墓山の 麓を通り下 毘縁から山上・ 茶屋方面に続く。 東南道の剗 (セキ)は 大菅峠に存在したと考えて異論はないだろう。

ところで、いくつかの論点が浮かび上がる。

その1)出雲国仁多郡郡家から伯耆国阿毘縁への「常に剗あり」設置の目的は何か。誰が、なぜ、その道を活用するだろうか。

その2)御墓山の両サイドで、たたらが生産されたとすれば、その間に技術的交流や技術者交流・製品交流・原材料供給・製品の運搬や販売などがあったかなかったか。つまり島根県(出雲国)奥出雲町(仁多郡衙)鳥取県南西部、日野川上流に沿って存在する奥日野地域との相互交流・通商である。


その3)




2025年7月8日火曜日

古代日本のブランド米「白稲」など――平川南氏や西尾敏彦氏の所論の紹介

  福島県いわき市荒田目条里遺跡出土の木簡に、「白稲五斗」とある<参考1>。

平川南氏の指摘で名が知られた古代日本ブランド米に関する研究(平川南 (1999) 「新発見の「種子札」と古代の稲作」、国史学169号 1~56頁、国史学会)であるが、その後、稲研究者によって飛躍的な展開を遂げている。

まず第1は、「白稲」に関する科学的情報である。<参考2>をご覧いただくだけで、その詳細な植物情報を知るだろう。


第2は、西尾敏彦氏によって、平川南氏の指摘が大きく発展されていることである。古代ブランド米は出土木簡の「白稲」だけではなく、

①「畔越」「畦越」「あせ越」「あぜこし」

②「古法師」「法師子」「こぼし」

③「白稲」「しらしね」と「白早生」「しろわせ」

④「足張」「楢張」「縮張」「すくはり」

⑤「地蔵子」「ちもとこ」「ちっこ」

等へと議論が拡大している。

その詳細は、西尾敏彦氏の論文

「(特別寄稿) 出土木簡からたどる水稲在来品種の1300年」日本農業研究所研究報告『農業研究』第34号(2021年)p.341~359 

を一覧してほしい。江戸時代の農書、地方書、産物 帳など、明治以降は農商務省や各府県の品種に関する調査報告書など、西尾による丹念な調査に驚嘆する。先にも後にも西尾論文を凌駕するものに接することはないだろう。

さて、我々の関心の所在は、従来、日本古代史学研究者の通例として、「コメ」は1種類とのみ理解し、そのコメにも多くの品種が存在したことを失念していたことである。

 我々は常識を脱して、日本列島の東西・南北で生育されるコメに大きな品種差があるとする前提に立てば、様々な異なる議論が可能となるに違いない。例えば、列島でも東北地方のような寒冷地に生育するコメと九州地方のような比較的温暖な地に生育するコメとの間に、少なからぬ違いがあったと考える段階に至っている。




やはり我々は単に歴史学にのみ安住することなく、考古学・農業史・建築史・生態史・歴史地理学・鉱物学・植物学・食物学などの多方面の隣接諸学問に敬意を払い、謙虚に学ばなくてはならないと痛感する、






**********

<参考1>

■詳細

URLhttps://mokkanko.nabunken.go.jp/ja/MK024166000013
木簡番号17
本文・白稲五斗○五月〈〉・○〈〉
寸法(mm)(196)
23
厚さ3
型式番号051
出典木研24-166頁-(13)(木研17-101頁-(17))
文字説明 
形状下欠。
樹種 
木取り 
遺跡名荒田目条里遺跡
 
所在地福島県いわき市平菅波字礼堂
調査主体(財)いわき市教育文化事業団
 
発掘次数 
遺構番号3号溝
地区名
内容分類付札
国郡郷里 
人名 
和暦5月
西暦5(月)
遺構の年代観 
木簡説明 
DOI
<参考2>

植物遺伝資源の詳細

JP番号

9663

植物名

稲(水稲)

学名

Oryza sativa L.

品種名

· SHIROINE(KEMOMI)

品種和名

· 白稲(ケモミ)

画像データ

JP 9663 (種子) JP 9663 (玄米)

原産地

徳島

種類区分

在来

取得区分

受入

備考

1965年徳島県那賀郡上那賀町東尾で収集

取寄先

神奈川

提供元組織

農業生物資源研究所 遺伝資源第二部 遺伝資源管理情報科

保存番号

· 10583 (センターバンク)

配布形態

種子

標準配布量

50

発芽率

100%

MTA

食料・農業に関する目的の場合SMTA それ以外の場合GB-NARO MTA

配布申込

申込

稈長

106 (cm)

box plot

(茨城, 2012)

穂長

22.9 (cm)

box plot

(茨城, 2012)

穂数

10.2 (/個体)

box plot

(茨城, 2012)

ふ先色

黄白~黄

box plot

(茨城, 2012)

籾長

7.3 (mm)

box plot

(茨城, 2012)

籾幅

3.6 (mm)

box plot

(茨城, 2012)

玄米長

5.0 (mm)

box plot

(茨城, 2012)

玄米幅

3.1 (mm)

box plot

(茨城, 2012)

うるち()・もち()の別

box plot

(茨城, 2012)

出穂期

2012/08/12

(茨城, 2012)

芒の有無と多少

box plot

(茨城, 2012)

芒長

box plot

(茨城, 2012)

芒の分布

全体

box plot

(茨城, 2012)

玄米千粒重

22.9 (g)

box plot

(茨城, 2012)

護穎の色

黄白

box plot

(茨城, 2012)

玄米の粒色

box plot

(茨城, 2012)

穂揃日数

6 ()

box plot

(茨城, 2012)

稈長

96 (cm)

box plot

(福岡, 2000)

穂長

19.5 (cm)

box plot

(福岡, 2000)

穂数

8.6 (/個体)

box plot

(福岡, 2000)

ふ先色

黄白~黄

box plot

(福岡, 2000)

籾長

7.8 (mm)

box plot

(福岡, 2000)

籾幅

3.7 (mm)

box plot

(福岡, 2000)

玄米長

5.3 (mm)

box plot

(福岡, 2000)

玄米幅

3.0 (mm)

box plot

(福岡, 2000)

うるち()・もち()の別

box plot

(福岡, 2000)

出穂期

08/28

(福岡, 2000)

穎色

黄白

box plot

(福岡, 2000)

芒の有無と多少

box plot

(福岡, 2000)

芒長

極長

box plot

(福岡, 2000)

稈長

89 (cm)

box plot

(新潟, 1976)

穂長

19.0 (cm)

box plot

(新潟, 1976)

穂数

7.0 (/個体)

box plot

(新潟, 1976)

籾長

6.4 (mm)

box plot

(新潟, 1976)

籾幅

3.2 (mm)

box plot

(新潟, 1976)

うるち()・もち()の別

box plot

(新潟, 1976)

出穂期

08/22

(新潟, 1976)

草型

中間

box plot

(新潟, 1976)

稈の細太

や細

box plot

(新潟, 1976)

葉身毛茸の有無と多少

box plot

(新潟, 1976)

止葉の直立性

box plot

(新潟, 1976)

葉身の色

濃緑

box plot

(新潟, 1976)

粒着密度

46.0 ()

box plot

(新潟, 1976)

穎毛の有無と多少

box plot

(新潟, 1976)

玄米の粒色

box plot

(新潟, 1976)

葉いもち圃場抵抗性

box plot

(新潟, 1976)

白葉枯病抵抗性品種群別

1

box plot

(新潟, 1976)

紋枯病抵抗性

box plot

(新潟, 1976)

脱粒性

box plot

(新潟, 1976)

玄米品質

中中

box plot

(新潟, 1976)

腹白の多少

極少

box plot

(新潟, 1976)

心白の多少

box plot

(新潟, 1976)