2019年10月28日月曜日

令和

令和のいわれが『万葉集』巻5の815番歌から846番歌、つまり「梅花の歌三十二首」の序にある、
「天平二年正月十三日、帥(大伴旅人)の老の宅にあつまりて、宴会を申きき。時に、初春の令月にして、気淑く、風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き~~~」
の「令」と「和」を組み合わせたものである。
序には、「気淑く、風和ぎ」とあり、「気と風」と「淑と和」とが対語である。つまり「令」と「和」とが結合することはないが、唯一、中西進氏の脳裏の中でのみ、「令+和」と衝撃的に閃いたのである。

393番歌

『万葉集』巻393番歌

見えずとも誰恋ひざらめ山の末にいさよふ月を外に見てしか
[題詞]満誓沙弥月歌一首


[原文]不所見十方 孰不戀有米 山之末尓 射狭夜歴月乎 外見而思香

(1)誰恋ひざらめ
  「だれでも恋をする」の意。
(2)山の末
  「やまのハ」と読む。
(3)いさよふ
  「
(4)この「山」とは?
太宰府を取り囲む、どの山を指すのだろうか。
季節を知り、「山の末にいさよふ」とあることで、時間帯を知ることさえ可能であれば
その山を特定できるものの、それでもこの歌を詠んだ場所はどこだろうか。
作者は、造筑紫観世音寺別当の沙弥満誓。
(5)みてしか
  てしか⇒ 「自己の行為、状態に関する希望を表す」(大系、第1巻、193頁)






『万葉集』巻3に残る大伴旅人の *392番歌

『万葉集』巻3に残る大伴旅人の、
*392番歌
「ぬばたまのその夜の梅をた忘れて折らず来にけり思ひしものを」
題詞]<大>宰大監大伴宿祢百代梅歌一首
烏珠之 其夜乃梅乎 手忘而 不折来家里 思之物乎


に注目するのは、その接頭語「タ」である。
1、タ+忘る
2、タ+走る
3、タ+遠し
4、タ+易し
5、タ+弱し

珍説を一つ増やすこととなるが、
*「タ」として、朝鮮語の副詞「Ta 다 」(すっかり、ALLなどの意)

を想起してもよい。