2024年3月3日日曜日

大宰府の「京宅」の有無

大宰府の京宅

『類聚三代格』寛平三年九月十一日官符によれば、調庸物を運搬してきた綱領らが官物を横領し京宅を購入していたそうだ。この一文は様々な想像を可能にする。毎年、遠路はるばる、大宰府から輸送してきた調庸物の運搬者たちが京にまずは定宿を決め、そこに官納する前に臨時の荷物保管場所とすることはありえる。その定宿をあっせんしたのは、大宰諸国から派遣された舎人集団であったはずだ。なぜならば、京内の不動産情報や朝廷との係累を持っていただろうからである。右も左もしならない田舎者にとって、同郷の出身者は心強い。何よりも人間ネットワークも強く、しかも方言も通じる上に、食べ物も懐かしい。

 地方で富豪な者は京内で住宅を購入するのも、自然である。

これは私の想像に過ぎないが、そうした視点で平城京を眺めても良いかもしれない。

 


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