2024年3月9日土曜日

よもやFreudが古代エジプト美術品の有名なコレクターであったとは。

 偉大な精神分析学者ジークムント・フロイトは古代エジプト美術品のコレクターであった。

その研究者である秋吉良人先生によると、

フロイトは大地の中から掘り出されたものに特別の愛情を抱いた。古代の 「遺物」 である。そのコレクションに彼自身 「中毒」 とさえ呼んだほどの情熱を注ぎ、書斎と診察室は収集品で溢れかえった。彫像やオブジェ、エジプト起源の 考古学的遺物」 がところ狭しとならぶ彼の診察室に 「考古学者の書斎」 を見い出した 」(「フロイト読解ノート:精神分析と考古学」57頁、https://opac.kokugakuin.ac.jp/webopac/kokugakuinzasshi_115_11_008._?key=LCYBGT)

とある。この論文に偶然に行きつき、蒙を開かれる思いであった。

 考古学が開発した層序研究、そして遺物が語るHistoryを、心のそれに適用したのがFreudであった。地表の下、心の下に何があるかをワクワクしながら、Freudは発掘することに多大な興味を持ったに違いない。

江湖の方に一読をお勧めし、Freud学入門の足掛かりとしていただきたい。

私にとって、Freudが収集した古代エジプト品に関する情報を知らないだけに、彼の好みは分からない。

慧眼の士はすでにご明察の通り、私の視野には、

『古代の博多』(岡崎敬校訂)九州大学出版会、 1984年

の著者である中山平次郎先生がある。九州帝国大学医学部初代病理学教室教授であった中山先生は、その一方で考古学者としても著名であった。その偉大な業績は枚挙にいとまない。中山先生は、「鳥の目」で古代九州を考古学的に観察し、「虫の目」で細菌を病理学的に観察なさった。

私は平山先生の謦咳に接することはなかったが、先生を知る方々から多くのエピソードを伺った。そのメモも公表したい。

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