2025年10月8日水曜日

大田原市の百済仏の紹介(大田原市史からの転載)

 【(2) 釈迦誕生仏】



釈迦誕生仏

92 ~ 94
 昭和十三年春、前記したように大野清宅背後の茶畑附近で、同じ百済様式の釈迦誕生仏の小型のものが発見された。(写真4)本像は高さ八・二センチを測り、腰には裳を付け上半身は裸である。像を横から見ると背中の部分が張り出し、腹部は逆に前方に張り出しており、百済仏の特徴のひとつである弱い逆S字形を呈する。耳は大きく、面相は目、口のまわりが僅かに凹んでおり、古百済仏の特徴である童顔でない怖い御面相である。像の表面は黒味がかって光沢があり、処々鍍金を残し火に遇った痕跡はない。像全体がなめらかで、柔らかい感じさえしていて螺髪(らほつ)も刻まれていない。出土地点が建物跡から少々離れてはいるが、密接な関係のある仏像といえよう。
 現在、那須町伊王野時宗専称寺に大野氏より寄進され、国の重要文化財の本尊善光寺型如来と共に保管されており、遺跡も町の指定遺跡となっている。

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