万葉集4275番歌
「(天平勝宝4年<752>11月) 新嘗会の肆宴に鷹ふる歌六首」 十五 日が
*天地と久しきまでに万代に仕へまつらむ黒酒白酒を(巻19-4275)
とある。この黒酒・白酒は、『延喜式』(巻40、造酒司)の「新嘗会白黒酒料」に
「熟後以久佐木灰三升、採御生気方木、和合甕、是称黒貴、其甕不和、是称白貴」
とある。これによると、久佐木灰を加えたのが黒酒(黒貴=黒+き<<お神酒のキ>>)、加えな いのが白酒である。
しかしながら「一麹、二酛、三造り」と言われる日本酒造り。出雲の地酒に米田酒造の「地伝酒」がある。その地伝酒は
「製造にかかる時間は約3か月。じっくり寝かせて完全発酵させ、秘伝の木灰を加えて絞ります。木灰とは草木を焼いて作った灰のことであく抜きなどに使われています。これを加えることで糖とアミノ酸が結合し中和することにより赤みを帯びるわけです。甘味は味醂の約半分、うまみは日本酒の3倍~5倍にも及びます。甘みを抑え旨味が豊富なので様々な料理との組み合わせに適しており料理の味が一層引き立ち、品のある上質な美味しさを生み出します。また料理の味を引き立たせるだけではなく、弱アルカリ性の成分が魚の生臭さを消す働きもあります。これは魚の生臭さの原因であるアミン類を自伝酒のアルカリ成分が発揮してくれるから。さらに荷崩れを防ぐ効果もあるので、素材の持ち味を存分に生かすことができます。」
とある。日本各地に残る「灰持酒」が、この「黒酒」に類するだろう。私は「肥後の赤酒」を知らないので、その紹介は下記のURLを一覧してほしい。
なお、『続日本紀』天平神護元年(765)11月23日 条に、
「由紀須紀二国乃献札留黒紀白紀乃御酒」
とある記事も参照すべし。
そして、木簡庫の記事も重要な情報を提供する。
「白酒(シロキ)は黒酒(クロキ)に対することばで、『延喜造酒式』の新嘗会白黒二酒料条によると、「其造酒者、米一石令三女丁舂二官田稲一以ニニ斗八升六合一為(レ点)蘖、七斗一升四合為(レ点)飯、合二水五斗、一各等分為二一甕、一甕得(レ点)酒一斗七升八合五夕、熟後以ニ久佐木灰三升一採二御生気方木一和二合一甕、一号称ニ黒貴、一其一甕不(レ点)和、是称ニ白貴一」とあり、久佐木灰を入れるか否かにより白酒か黒酒となった。新嘗祭や大嘗祭のために醸されたものである。白酒・黒酒は『万葉集』(四二七五)や『続日本紀』(天平神護元・一一・庚辰)などにも見られる」
URL | https://mokkanko.nabunken.go.jp/ja/6AACVS15000416 | |
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木簡番号 | 2316 | |
本文 | 白酒○酒□〔火ヵ〕 | |
寸法(mm) | 縦 | 96 |
横 | 18 | |
厚さ | 4 | |
型式番号 | 021 | |
出典 | ◎![]() | |
文字説明 | ||
形状 | ||
樹種 | ||
木取り | ||
遺跡名 | 平城宮造酒司地区 | |
所在地 | 奈良県奈良市佐紀町 | |
調査主体 | 奈良国立文化財研究所 | |
発掘次数 | 22N | |
遺構番号 | SD3035 | |
地区名 | 6AACVS15 | |
内容分類 | 付札 | |
国郡郷里 | ||
人名 | ||
和暦 | ||
西暦 | ||
木簡説明 | 白酒(シロキ)は黒酒(クロキ)に対することばで、『延喜造酒式』の新嘗会白黒二酒料条によると、「其造酒者、米一石令三女丁舂二官田稲一以ニニ斗八升六合一為(レ点)蘖、七斗一升四合為(レ点)飯、合二水五斗、一各等分為二一甕、一甕得(レ点)酒一斗七升八合五夕、熟後以ニ久佐木灰三升一採二御生気方木一和二合一甕、一号称ニ黒貴、一其一甕不(レ点)和、是称ニ白貴一」とあり、久佐木灰を入れるか否かにより白酒か黒酒となった。新嘗祭や大嘗祭のために醸されたものである。白酒・黒酒は『万葉集』(四二七五)や『続日本紀』(天平神護元・一一・庚辰)などにも見られる。 |
■研究文献情報
当該木簡を取り上げている研究文献一覧を表示します。
この久佐木灰が分からない。
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