559番歌
事もなく生き来しものを老なみにかかる恋にもわれは会へるかも
(1)生き来しものを
「生來之物乎」の訓が定まらない
(2)老いなみ
老いらくの恋。559番歌では「恋」と記すが、560番歌では、「孤悲」と書く。現代感覚で「恋」と理解すべきではなく、むしろ「孤独に(一人で)もだえ苦しい恋」である。
「恋ひ」を表現する文字は、古事記では「古斐」、万葉集では「古非」「故非」「故飛」「孤悲」、日本書紀には「姑悲」
なお、563番歌では「老ゆる」は「耆」に当てる。正倉院文書中の大宝戸籍などを参照すると、66歳以上を「耆老(耆女)」、61歳から65歳を「老夫(老女)」と記す。
(3)吾者遇流香聞
まず「吾」は、「われ」か「あれ」と読まれてきたが、私は「われ」と読みたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿