560番歌
恋ひ死なむ時は何せむ生ける日のためこそ妹をみまく欲りすれ
(1)何せむ
「せむ」は反語。
(2)生ける
Ikuari ⇒ Ikeri ua⇒e 二重母音の変化
(3)見まく
「見む」のク語法。mimu+aku ⇒ mimaku。なお、万葉集中に、ク語法は531例あり。
[参考文献]
大野 晋 (1952), 「古文を教へる国語教師の対話--文法史の知識はどのやうに役立つか--」, 『国語学』 8, pp.87-
早田 輝洋 (1998)「上代日本語の音節構造とオ列甲乙の別」, 『音声研究』 2(1), pp.25-33
安田 尚道 (2009), 「"ク語法 aku説"とその提唱者たち」, 『青山大学文学部紀要』 51, pp.143-
(4)欲りすれ
「欲りす」の已然形。「こそ~すれ」と呼応
(5)妹
愛する妻、もしくは愛する人。
(6)~ム時ハ
「事おはり、帰らむ日には」(万葉集、5、984番)
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