7世紀前半から出土する単龍環頭大刀は物部氏、双龍環頭大刀は蘇我氏の配布品 だとする清水みき氏の仮説に注目したい。丹後半島最大級の横穴式石室を持つ円墳である湯船坂2号墳(京都府京丹後市久美浜町)から出土した金銅装双龍環頭大刀や銀装圭頭大刀発掘に従事した清水氏が発掘報告書に投稿した論文に載録された仮説である。
清水みき 「付載3:湯舟坂2号墳出土環頭大刀の文献的考察」久美浜町教育委員会『湯舟坂2号墳』1986年 )
その仮説は実証されたとは言いがたいが、しかしその見通しの提示に刮目したい。
そもそも日本列島出土の龍鳳文環頭大刀は朝鮮半島から持ち込まれた品だとするのが通説である。その際に、龍鳳文環頭大刀 は伽耶系(さらに付記すれば、百済系の意匠に伽耶系の技術が加わった品か)、三累環頭・三葉環頭大刀は新羅系だと推定しても良いだろう。
ここでの問題は、輸入品【舶載品)と国内生産品とのスイッチの時期であろう。
双龍環頭大刀研究に関しては、例えば
①小倉田古墳(福知山市夜久野町今西中915番地)資料
②島根県かわらけ谷横穴墓資料
などの類似品からも、清水説の可能性を想定させる。専門外ゆえに断定的な判断は避けるが、少なくとも全面否定は不可能ではないだろう。
ちなみに、単龍鳳環頭大刀の分類と編年に関しては、新納泉氏と町田章氏の先行研究があり、その編年は現在の標準となっていると聞く。
<参考文献>
穴沢味光・馬目順一 「龍鳳文環頭大刀試論 一韓国出土例を中心として-」 『百済研究』第7輯、229-263頁、 忠南大学校百済研究所、1986年
穴沢味光・馬目順一 「日本における龍鳳環頭大刀の製作と配布 一一つの試論-」 『考古学ジャーナル』 266、 16-22頁、ニューサイエンス社 、1986年
新納泉 「単竜・単鳳環頭大刀の編年」 『史林』第65巻第4号110-141頁、史学研究会 、11982年
新納泉 「戊辰銘大刀と装飾付大刀の編年」 『考古学研究』第34巻第3号、47-64頁、考古学研究会、1987年
町田 章「環頭大刀二三事」 『山本清先生喜寿記念論集山陰考古学の諸問題』 277-300頁、山本清先生喜寿記念論集刊行会、1986年
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