すでに岸俊男氏の高論「防人考」(『万葉集大成』第11巻、特殊研究編、平凡社、昭和30年、106頁)に指摘してあるので、屋上屋を架す恐れがあるが、それでも岸氏の一歩先を行くチャレンジ精神だけでも知っていただきたいと考えて本稿を記す。
樋口隆康先生のご紹介で、岸先生にお目にかかった時、幼さゆえに私は質問攻めにして岸先生の貴重な研究時間を浪費させてしまった。先生のご不興を買ったと、今でも私は反省と後悔し切りである。私の研究関心は聖武天皇に有ったものの、生来の不勉強ゆえに的外れな質問に終始した。
その質問の一つが、天平10年の東国防人の帰国であった。周知のとおり、天平9年に防人は停止された。天平10年の『駿河国正税帳』によれば、
①伊豆(22人)
②甲斐(39人)
③相模(230人)
④安房(33人)
⑤上総(223人)
⑥下総(270人)
⑦常陸(265人)
の計1082人が駿河国を通過した。
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